FreeNASからTrueNASへアップデートを実施

FreeNASからTrueNASへアップデートを実施した記録

最初に

FreeNASが終了となりTrueNASへ一本化したのは以前の記事でお伝えしましたが
2020年10月20日に無事、TrueNAS 12.0-RELEASEがリリースされました

しかしiXsystemsのことですしNASという性質上
あまりすぐ導入する気にもならず、テスト導入するにしてもU1の登場を待つことに

そして2020年12月09日にようやくTrueNAS 12.0-U1がリリースされたので
まずはバックアップ機に導入してみることにしました

今回はそのFreeNASからTrueNASへの更新作業内容を紹介していこうと思います

事前準備

まずはFreeNASの最新版へ更新しておきます(現時点では11.3-U5)

システム→全般→設定ファイルの保存で設定ファイルをバックアップしておくと安全です
(アプデ作業の途中でも保存できますが念のため)

こちらは必須ではありませんが長期間稼働している場合は
再起動をしてメモリ解放しておくと無難です

アップデート作業

システム→アップデートに移動してTrainを変更します

現在はFreeNAS-11.3-STABLEが選択されています

TrainのプルダウンからTrueNAS-12.0-STABLEを選択

Trainを変更してもいいか聞かれるので
確認にチェックをして「続ける」を選択

無事にTrainがTrueNAS-12.0-STABLEになったのを確認

自動更新確認を無効にしているのでTrainの右にある更新ボタンを選択します
Upgradeの右側がbase-os-12.0-U1になっていればOKなので
そのまま「アップデートのダウンロード」を選択

アップデート前に設定ファイルの保存を促されるので
Include Password Secret Seedにチェックを入れて「SAVE CONFIGURATION」を選択

「ダウンロード後、アップデートを適用して再起動をする。」にチェックを入れて
「DOWNLOAD」を選択するとアップデート処理が開始されます

アップデート処理が開始されました

まずダウンロード処理が入ります

ダウンロードが終わるとインストール処理に入ります

インストール処理が終われば自動で再起動されるのでWEBGUIは切断されます

再起動している間にブラウザ内のキャッシュをクリアしておきます

再起動が終わればログイン画面が表示されます
(この時の再起動にかかる時間はいつもとあまり変わりません)
TrueNAS COREに切り替わっているのがこの画面で確認できます

ログインしてダッシュボードが表示されると
初回はTrueNASに関する案内が表示されますので
右下にある「GET STARTED」を選択して閉じます

ご覧の通りほとんどFreeNASの新WEBGUIのまま文字だけTrueNASになっているレベルで
日本語化具合も変わらない感じです

ダッシュボードのシステムの情報でTrueNAS-12.0-U1なのが確認できます

これでTrueNAS化はとりあえず完了です

暗号化プールについて

今回の環境はFreeNASのときからプールを暗号化して利用していましたが
TrueNASへアップデートしても問題なくアンロック・使用ができました
アンロック手順もFreeNAS時代と変わりません

ダッシュボードのPool情報
解除前と解除後の様子

Legacy Encryptionについて

FreeNAS時代の暗号化プールをそのまま使うと
ストレージ→Poolの画面で「Legacy Encryption」という記載があります

これはTrueNAS12からOpenZFS 2.0採用でネイティブZFS暗号化に対応したのに伴い
区別しやすいよう従来のGELI暗号化プールを使用している場合に表示されます

ネイティブZFS暗号化のプールなどを作成する場合は新規作成でのみ可能で
現時点では既存のGELIからネイティブへの変換機能は実装されておりません

iXsystemsからも将来的にGELIからネイティブへの変換機能を実装する予定なので
今すぐ移行する必要はなく、変換機能が実装されるまでは
GELI暗号化プールも引き続きサポートする旨がアナウンスされているので
現時点ではそのまま使っておけば大丈夫です

ネイティブZFS暗号化は出たばかりなので人柱組の検証も今からという段階ですし
GELIの方がFreeBSDの機能として長年使われてきたので安心感があります

TrueNASのWEBGUIからプールを新規作成した場合は
ネイティブZFS暗号化のみ対応していてGELI暗号化プールの作成はできないので
安定動作を求める方はおとなしくFreeNAS11.3+GELIを使いましょう

プールのアップグレード

TrueNASからOpenZFS 2.0になっている為
全ての機能を利用するにはプールのアップグレードが必要になります

TrueNASへ更新後にアラートでも通知がされますしメールでも通知されます

New alerts:
* New ZFS version or feature flags are available for pool ***. Upgrading pools is a one-time process that can prevent rolling the system back to an earlier TrueNAS version. It is recommended to read the TrueNAS release notes and confirm you need the new ZFS feature flags before upgrading a pool.

記載の通りでこれを実行すると元には戻せませんので
不具合があるからといってFreeNASへ戻すと不具合が発生する可能性があります

更新を実行しなくても普通に今まで通りの使用はできますので
基本的にはプールを更新する前に今まで通りの使い方が出来ているかを確認し
TrueNASでも各自の用途で問題ないと確認できてから更新すべきです

更新作業

ストレージ→Poolを選択
暗号化している場合はアンロック後に操作してください

格納データへアクセスしながらでも更新作業は可能ではありますが
万が一を考慮して出来るだけセッションを切った方がいいかと思います

右にある歯車ボタンを選択してサブメニューを開くと
Pool Actionsの一番下に「Upgrade Pool」が表示されているので選択

実行するか聞かれるので
確認にチェックをしてから「続ける」を選択

数秒で処理は終わります

プールのバージョンが最新であればPool Actionsに「Upgrade Pool」は表示されません

メモリの使用状況

TrueNASにしてから少し気になったのはメモリの使用状況です

こちらがダッシュボードで表示されているFreeNASとTrueNASの比較です
右がFreeNAS-11.3-U5で左がTrueNAS-12.0-U1
同じ用途で1週間ほど稼働させた後の状態です

グラフの色自体がTrueNASから変更されているので紛らわしいですけど
Servicesに使用されているメモリ量が0.9GiB→5.5GiBと全然違うのが確認できると思います

このホストで起動しているサービスは以下の5種類
iSCSI/S.M.A.R.T./SMB/SNMP/SSH
FreeNASからTrueNASへ更新したこと以外は一切各サービスの設定は触ってない状態です

先ほどの画像は数日稼働した後の様子でしたが
TrueNASが起動した直後の様子がこちら

起動してすぐの段階で既に3.8GiBになっています

当然Servicesの使用メモリ量が増えると
空きスペースを活用するZFS Cacheが割を食うことになるので
搭載メモリが少ない人は注意した方がいいかもしれません

本当は原因を調べたかったのですが
SSHで調べてもプロセス特定できず時間切れとなりまして
現在も原因は不明でもしかしたら表示上の問題なだけかもしれません

公式フォーラムやRedditを見てるとSMBやiSCSIだけで10GiB超えな人もいるようで
いずれも11.3-U5に戻すと過度な消費が収まるとのこと

今回はバックアップ機なこともありメモリに困っていないので
とりあえずこのまま様子見することにしました

最後に

今のところ報告が多い中でTrueNAS化するデメリットは
上記のServicesのメモリ使用量が多い点とSMBやiSCSIのREAD速度の低下です

メモリの件は搭載メモリに余裕があればまだ我慢できるレベルですし
別項に記載したのでここでは省略します

SMBやiSCSIのREAD速度の低下

SMB/iSCSIの読み込みが遅くなる件については
今回テスト導入したのがバックアップ機ということもあり普段は直接アクセスしていないのと
比較するためのFreeNAS時代の計測をしていなかったので比較検証ができませんでしたが
バグトラッカーやフォーラムでは複数の報告があり
それについての検証、そして改善策などが提案されたりしているので
いずれ修正されるのではと思います

軽く見た感じではGbE程度の環境であれば低下幅も少ないせいか
少し遅くなったな程度で使い続けている人が多いようですが
10GbEクラスの環境だと11.3-U5に比べ半分程度まで落ちるケースも結構あるようで
問題になりやすいみたいです

ちなみに読み込みだけで書き込み速度には影響ないとのこと

バックアップ機としては読み込みより書き込みばかりなので
メモリの件でフォーラムを漁るまでは気づきませんでした

現時点では導入するメリットは感じられず

システム自体の安定性については今のところ1週間ほど経過してますが問題なく動作しており
勝手に再起動したり致命的なエラーが発生したりはしていません

様々な不具合もいずれ修正され、いずれはTrueNASへ移行することになるのでしょうが
少なくとも現時点ではFreeNAS-11.3系がベストチョイスです

TrueNASの新機能を理解した上ですぐに使いたい人や
最新版を入れないと落ち着かない人以外は「待ち」でいいと思います

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