APC SMT500Jでシリアル・USBを同時利用するメモ
SMT500Jについて
APC Smart-UPS 500 LCD 100V SMT500J
(写真の下部に550と記載されてますがLCDの通り500VAです)
Smart-UPSシリーズはNECや富士通などのメーカーでも別型番で売られており
例えば同じNECの500VAモデルだと型番はN8180-68B
UPS筐体の色も白だったりしますが中身は同じです
Smart-UPSシリーズと一言でも言っても大きく分けて2種類あり
旧型のSU/SUA系と現行のSMT/SMX系になります
わかりやすい差は旧型のSU/SUA系は
LEDと丸ボタンのみの操作で正面にLCDがありません
現行のSMT/SMXはLCDパネルがありボタンと組み合わせることによって
様々なメニューが表示できるようになっています
今回はLCD付SMT系の話になります
シリアル・USBの同時利用について
UPSとPCの接続は前記事でも扱ったネットワークカード:AP9630Jを使わない限り
USBかシリアルでの接続となります
UPSの背面はこんな感じでUSBはタイプB、シリアルはRJ45
APCの公式回答ではUSBとシリアルは同時接続は利用できないとのスタンスで
USBの場合はUSBのみ シリアルを使う場合はシリアルのみ有効になるとのこと
例えばシリアルで複数台繋ぎたい場合はAP9624を追加して対応する必要がある
そして基本的には複数端末をシャットダウンしたい場合はAP9630Jを導入して
更にPowerChute Network Shutdownを購入して対応する必要がある
実際にLCDなしのSUA500の頃はUSBとシリアルは同時利用できなかった気がします
しかし
LCDありのSMT/SMXモデルだと両方から設定したりしなければ
USBとシリアルは同時利用できるとの情報がネットにあったので
今回はその検証記事になります
シリアル側の接続
今回は元々UPSとWindowsServerとの接続はシリアルで接続してましたので
こちらがメインでUPSの設定等を行う側になります
使用した接続ケーブルはRJ45とDB9の変換ケーブル
APCでいうとAP940-0625Aですが汎用ケーブルで大丈夫です
WindowsServerに入れているのはPowerChute Business Edition 10.0.0.401
USB側の接続
USB側は普段接続していなかった側ですが
今回は最近まで検証していたTS-873を繋いでみました
QNAP NASはUPSに対応しているものの基本的には受信しかできず
UPSの設定をQNAP NASから変更したりはできないので
動作条件にピッタリです
検証したTS-873のQTSバージョンは現時点での最新バージョンのQTS 4.4.1.1146
接続ケーブルはUSBタイプBとUSBタイプAの変換ケーブル
APCでいうとAP98117Jですがこちらも汎用ケーブルで問題ありません
USBタイプA側をQNAPの背面にあるUSB端子に接続しました
特に1台接続時と変わりはなくあっさりと認識されました
右上の外部デバイスも「1」になっていてUPSが認識されていて
UPS情報も正常ステータス
推定保護時間もしっかり取得できています
QNAP側の設定画面を見るとシンプルなのでわかりやすいですが
UPSから停電・復旧情報を受信する以外に必要な情報はなく
NASからUPSの設定値を変えたりはできないのでPowerChuteと競合することはないでしょう
QNAP側でUPSが認識できればQTSにあるネットワークUPSサポートを使って
USBを接続しなくても更に追加でNASを複数接続してもシャットダウン可能になります
(LANハブの電源もUPS接続するのを忘れずに)
2台同時接続の結果
各ステータスは確認できたので実際に停電状態にしてみて
自動シャットダウンが開始するかを確認したところ
WindowsServer側はPowerChute上での設定値でシャットダウン開始
QNAP側ではQTS上での設定値でシャットダウン開始
無事に停電対応完了しました
停電状態になりバッテリー駆動になった時点でQNAPからもすぐにメール通知がきてました
復旧時に順序の制限がある可能性を考慮して
WindowsServer→QNAPの順とQNAP→WindowsServerの順で起動してみましたが
どちらもステータスは正常でPowerChuteのイベントログも正常だったので
おそらく起動順序は関係なさそうです
まとめ
Smart-UPS LCDのSMT/SMXであればUSBとシリアルの同時利用は可能
QNAPやSynologyのようなNASについてるレベルのUPSサポート機能であれば
PowerChuteと競合することはないでしょうから
片方をWindowsのPowerChute、片方を簡易UPS機能にすれば安心の構成
UPSのUSB・シリアルコネクタ側の仕様で
片方挿せば片方が無効したり制限をかけたりはしていないようで
もしかしたら両方PowerChuteでも同時に設定をいじらなければ
使える可能性はあります(未確認)
おまけ
PowerChute Personal Editionは現時点ではSNMP対応していなかったはずなので
PowerChute Business Editionの話に限定されますが
PowerChute Business Edition v10.0からSNMPへの対応が追加となり
実際に設定画面でもSNMPの配信設定が可能になるような画面は確認できます
SNMPが利用可能ならUPSからのケーブルはWindowsServerだけに繋いで
QNAP NASはQTSのUPS機能にある「SNMP接続」を利用してUPSを認識できれば
非公式な同時利用構成を使わなくてもいいのではないかと思ったのですが
今回の場合は残念ながらWindowsServer側で既にSNMPを使っており
ポート161が使えませんでした
161ポート以外であればPowerChute側は動作はしますが
そうなると次はQNAP NAS側の「SNMP接続」の場合はIP指定のみという問題があり
結果的には接続できませんでした
WindowsServerでSNMPを使っていない環境やポートを変更可能な環境であれば
PowerChute Business EditionのSNMPで済む可能性はありますが
こちらはQNAP側の検証をしておらずNAS側が対応できるかは不明です
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